20180727

出勤。紀伊國屋書店で新潮クレスト・ブックスの新刊『ガルヴェイアスの犬』を購入。ジョゼ・ルイス・ペイショットなるポルトガルの作家の、長篇第5作らしい。初の邦訳だそう。あとタワレコでRoss From Friendsのデビュー・アルバム『Family Portrait』のCDを購入。/通勤前と帰宅後、Deaf Wishの新作を再生しながら北村太郎の『眠りの祈り』を読む。この詩集も今月のあたまにクラリスブックスで買い求めた。

香典返しのおいしいお茶を飲みながら

二週間まえの朝

庭の柳の幹に青大将が巻きついていたことを思い出した

そのときそれをじっと見ていた息子が

いま猫を撫でているのを見ていた

猫の全体を

ゆっくり見ていた

とつぜん隣の家の水道管が

苦しげに高らかに喘ぐ音がきこえた

それは実に急激に絶えた

皿のさかなを見ていた

陰膳という習慣は

きみがわるいと思った

雨の上がった闇を見ていた

これから見るにちがいない幾つかの夢を見ていた

 (「五月闇」)

すごく陰惨な詩だ。たったいちどだけ到来する「音」との交感と断絶のすさまじさよ。むしろ陰惨な詩しかこの詩集には存在しないといっても過言じゃなくて、ともあれことしのこの酷暑なら詩集終末の二行も一層鮮烈に映るかもしれない。

あしたの予定をあれこれ考えていると無関係な一行がわたくしの舌にのぼる

「ゴキブリの死はいつでも惨死」

 (「夏の果て」)

ただ上の記述に反してきょうはわりかし涼しかった。最高気温29度程度で「涼しい」と書くのも癪だが。

 

北村太郎『眠りの祈り』(思潮社/1976年)

Deaf Wish『Lithium Zion』(2018年)

Guided By VoicesAlien Lanes』(1995年)